遊戯王のあれこれ 《輪廻独断》について 〜本当に禁止カード指定される?〜
どうも、Junと申します。
関東で遊戯王をしています。
《輪廻独断》というカードが、
2021年 6月12日 (土) 発売予定の
ANIMATION CHRONICLE 2021
に収録されることが決定されましたね。
2021年5月15日発売の
ストラクチャーデッキ サイバー流の後継者
には収録されません。
色々と大盛り上がりしている(し終わった?)ところ水を差すようですが、ストラクには入りませんよということは明示しておくべきかなと思いました。
GXでヘルカイザー亮が使用したカードだということで、大変な盛り上がりを見せているようですね。
さて、そんな《輪廻独断》のテキストですが
永続罠
①:1ターンに1度、種族を1つ宣言して発動できる。
このターン、お互いの墓地のモンスターは宣言した種族になる。
というものです。
非常にシンプルで驚きました。
で、まずこのカードを見て思ったことは
「対コードトーカー、鉄獣戦線、エルドリッチのサイドチェンジ候補になるな」
でした。
禁止カードになるな、なんて夢にも思っていないんですが、Twitterのサジェストに「輪廻独断」を入れると「禁止」とか「無限ドロー」とかが結構出てきてむしろ驚いたくらいです。
あまり言うべきではないんでしょうが、これから話すことの内容にこれを踏まえていただきたいのであえて言うのであれば、
禁止カードにする想定でカードを発売する、なんてことは今の販売戦略的にないと思ってもらって大丈夫だと思います。
そもそもなんですけど禁止カードにする想定で発売されたカードなんて…………………………………………
………………………………………………………??
………………………
…………
《超魔導竜騎士 ドラグーン・オブ・レッドアイズ》
闇属性 ☆8 ATK3000/DEF2500
融合 魔法使い族 効果
「ブラック・マジシャン」+「真紅眼の黒竜」またはドラゴン族の効果モンスター
①:このカードは効果の対象にならず、効果では破壊されない。
②:自分メインフェイズに発動できる。相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。この効果は1ターン中に、このカードの融合素材とした通常モンスターの数まで使用できる。
③:1ターンに1度、魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、手札を1枚捨てて発動できる。その発動を無効にして破壊し、このカードの攻撃力を1000アップする。
………???????????????
すみませんでした。
禁止カードにする想定で発売されたカードは、あるかもしれないです。
直近だと禁止カードになるべくしてなったと言えるカードはこの2枚かなと思います。
時期的により最近だと《トーチ・ゴーレム》もいますが、リンクロスに近い使い方をされていた、と思って大丈夫でしょう。
では、仮に《輪廻独断》が禁止カードにする想定で発売されるとして、禁止になる理由があるとするなら何になるでしょうか。
先述した2枚が禁止カードになった理由は、
・リンクロスの場合
〈召喚成功時に発動できる効果〉を持っているため、〈墓地に送られた場合の効果〉などとチェーンブロックを組むことで相手からの妨害を受けずに効果の発動が可能。
〈リンク2以上のリンクモンスター1体〉という召喚条件の関係上、展開の途中からこのカードをリンク召喚することが可能で、かつ、素材にしたリンクモンスターのマーカーの数までトークンを展開する効果によりさらなる展開を広げ、制圧盤面を形成することが容易になる。
・ドラグーンの場合
融合魔法の効果でのみ融合召喚できる、などの制約がなく蘇生も可能。
さらに《捕食植物 ヴェルテ・アナコンダ》というリンクモンスターと併用することでこのカードは事実上、"効果モンスターを2体並べる"ことができれば特殊召喚できる。
テキストも見ての通り強力無比の一言。
→《捕食植物 ヴェルテ・アナコンダ》
(2021/4/1リミットレギュレーション現在は制限カード)
闇属性 LINK2(マーカー:左下、右下) ATK500
リンク 植物族 効果
効果モンスター2体(召喚条件)
このカードの①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。
①:フィールドの表側表示モンスターを対象として発動できる。
そのモンスターはターン終了時まで闇属性になる。
②:2000LPを払い、「融合」通常・速攻魔法または「フュージョン」通常・速攻魔法をデッキから墓地へ送って発動できる。
この効果は、その魔法カード発動時の効果と同じになる。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分はモンスターを特殊召喚できない。
…アナコンダで《真紅眼融合》を指定してデッキから《ブラック・マジシャン》+《真紅眼の黒竜》でドラグーンを融合召喚できます。
個人的にドラグーンには非常に苦しめられたので槍玉に挙げさせてもらっていますが、似たような耐性持ちのカードがドラグーン以前にも2枚ほど禁止になっています。
最近はこの手の他のカードの効果を受けないに近い耐性持ちのカードはほとんど出ていないので、3回も似たような効果持ちを実装しては禁止にしてきたことでいい加減懲りたのかなと思います。
…実際、強力な耐性と効果を両立したモンスターはゲームの幅を狭めてしまうので、存在している時期が過ぎてみて環境がバラけすぎてくるとこれを中心にメタが回っていてそれはそれで面白かった、みたいな思い出話になっていくことはいいとしても、対面しないといけない間はなんて不健全なカードだ、以上の感想を持てないので、しばらくは実装しないでほしいというのが正直なところですね。
ことドラグーンの場合は展開手段のアナコンダもドラグーン自身もエクストラデッキに入るため、メインデッキの圧迫が最小限と言っていいほどの割合で済んでいたので、ゲームの幅の狭め方が異様でした。本当にみんな使ってきたし、みんな苦しめられていました。
そんな上記の2枚と比較して、
・輪廻独断の場合
効果で鳥獣族を指定し、《ドラグニティ-ブラックスピア》を墓地で鳥獣族扱いにすることで自身のリリース→蘇生ループを可能にし、《超再生能力》の効果でターン終了時にブラックスピアをリリースした回数分デッキからカードをドローできるので、デッキの枚数分ブラックスピアをループさせエクゾディアを揃えるコンボが成立する。
…というのが散見される禁止カードになる理由になるようです。
過言ですが、西暦5年なら通用していた理由だと思います。
最も早くこのコンボを成立させる初手は
《輪廻独断》
《ドラグニティ-ブラックスピア》
《超再生能力》
《王家の神殿》
《おろかな埋葬》
or
ブラックスピアの条件を満たせるモンスター(自分のターンで手札から墓地へ送って発動することができるモンスター)
の5枚が初手に揃っていることなのですが…
端的に言ってこの5枚を毎試合確定で引くことができる人がいて初めて《輪廻独断》本体やこのコンボに必要な周囲のパーツが禁止カードになっていくことになります。
禁止カードになるとするなら想定されるのはこのような場合であるはずなので、これを想定しましょう。
さて…そもそもですが、この想定っていががでしょうか。
さすがにこんなことはそうそう起こることではないと思います。
それでもこの初手に必ずしてみせるぜ!という人がいるのであれば間違いなく《輪廻独断》あるいは周辺パーツには規制がかかりますね。
(この初手からエクゾディアを揃えている様子は、YouTubeで輪廻独断と検索すればすぐ出てきますのでそちらを参照のほどお願いします)
…と言いつつ、ある程度現実的になる必要はあります。
そこで、コンボに必要な最低限のパーツである
《輪廻独断》
《ドラグニティ-ブラックスピア》
《超再生能力》
の3枚と、
(ブラックスピアの効果を成立させるために下級モンスターを墓地へ送れるカードの組み合わせ)×2
毎試合確定で手札が上記の5枚(確定3枚+半確定2枚)だとして、
《輪廻独断》が禁止カードに指定されるほどの効果だとすると、
リンクロスから形成できる過剰なほどの妨害数を構える最終盤面やドラグーンを相手にすることを考えてみましょう。
このコンボでは、成立させるために永続罠を伏せて、さらにターンが帰ってくる必要があります。
ターンが帰ってきたとしても、永続罠が有効である可能性や、ブラックスピアの効果が通る、あるいは通り続ける可能性や、超再生能力がカウンターされない可能性はどれくらいでしょう。
そして、この可能性を潰せる手札をコンボパーツ3枚を抱えている、あるいは《輪廻独断》をセットした状態から成立させることができるかどうかも重要ですが…いかがでしょう。
これもそこまで実現性が高くないはずですね。
売り文句に買い文句…と言うほどでもないですが、なんだかんだ言ってもリンクロスもドラグーンも禁止カードなので、それについては排除していきます。
ドラグーンは魔法、罠、モンスターの効果の誰にも対応したいわゆる万能カウンターですが、万能カウンターでなくてもカウンター効果を持ったカードはいくらでも存在する時代でもあります。
それでも禁止カードに制定されているのがドラグーンというカードともいえます。
さらに、《エフェクト・ヴェーラー》や《灰流うらら》に代表される『手札誘発』の存在もあります。
《輪廻独断》が禁止カードに制定されるほどのカードであるならば、これらも考慮に入れた上でコンボを成立させる必要がありますね。
…少し書き足したところで、
先ほどまでは《輪廻独断》+《ドラグニティ-ブラックスピア》+《超再生能力》の【エクゾディア】は、
1ターン目でコンボが成立する初手の5枚全てが固定されている場合と、2ターン目でコンボ成立となる3枚と、ブラックスピアの条件を満たすことのできるカードのいずれかが固定されている場合で考えていました。
『3枚+ブラックスピアの条件』が固定されている場合』の時に「ある程度現実的に」とは書いたものの、実際のゲームでは起こり得ない固定枚数であることは承知であると思います。
よって、より現実的に…というか、
現実にこのコンボを成立させることに特化した【エクゾディア】を組んだとして、
1ターン目からコンボを成立させる可能性を高める《ブーギートラップ》というカードを採用したとしましょう。
→《ブーギートラップ》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
①:手札を2枚捨て、自分の墓地の罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを自分フィールドにセットする。この効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できる。
この場合、【エクゾディア】側に必要になる初手は
《ブーギートラップ》
《超再生能力》
《ドラグニティ-レムス》(《輪廻独断》下でのブラックスピアの蘇生対象不在を解決しつつ、ブラックスピアを手札に加えられる《竜の渓谷》を手札に加えられる)
+
《竜の渓谷》のコスト1枚
+
《輪廻独断》を手札に加える、または墓地へ送るカード
+
《ブーギートラップ》のコスト2枚
この7枚となります。
《竜の渓谷》のコストが《輪廻独断》自身である場合は6枚になります。
後者の必要カード6枚で想定していきましょう。
まず…………
必要なカードが5枚より多くなっています。
これはつまり、先攻を想定すると既にコンボが成立しなくなるため、相手に零龍でも置いてもらってゲーム開始時にボーナスドローをもらいそのカードも確定させ……………冗談はこのあたりにしておくとして。
現実的にはどう少なく見積もっても、ドローのある後攻を選択しないことにはまずコンボの成立までこぎつけることができなくなりました。
次に、どうしても《超再生能力》が手札に必要です。
ブラックスピアのようにサーチが効きやすく実質的にデッキの中に4枚以上入れることのできるカードでも、代替できる効果を持ったカードでもないためです。
これについては3枚投入しドローする確率を上げることでしか解決ができない問題です。
後攻を選択せざるを得ないとして、そうなればこのデッキにおいてしなくてはならないことは
《ブーギートラップ》
《超再生能力》
《ドラグニティ-レムス》
《輪廻独断》
(ブーギートラップのコスト)×2
最低でもこの6枚を揃えていくことを見据えられる手札になっていて、
かつその手札から、
・《ドラグニティ-レムス》を通す
・《竜の渓谷》を通す
・《ブーギートラップ》を通す
・《ドラグニティ-ブラックスピア》の召喚を通す
ことができなくてはなりません。
これはいかがでしょう。
相手が完全に手札事故を起こしている場合でなければ通らないと言って過言ではないですね。
つまり、このコンボを成立させて勝利しようと思った場合、
勝率が相手の手札事故の確率とほぼ等しくなります。
…やはり最初に示した5枚を先攻で持っている可能性を限りなく高めないと、コンボを成功させることと勝率を比例させる具体性が低いと言わざるを得ないと思われます。
このままでは、どう《輪廻独断》を
強すぎ!ヤバい!ダメでしょ!禁止禁止!
などと言ったところで、実態にはあまり即していないということが見えてきたかと思います。
無限ドローはたしかに魅力的なコンボだし、ワードのパワーも高いし、成立させた時に得られる全能感も相当なものでしょう。
エクゾディアによる特殊勝利を成立させるために手っ取り早く思いつくワードであることも確かですが、果たして《輪廻独断》による無限ドローのコンボは《輪廻独断》自身や周囲のコンボパーツを巻き込めるほどのものでしょうか。
今の遊戯王は手札2枚もあれば先攻ワンキルが成立するコンボも平気であります。
(検索ワード:スクラップ ワンキル)
ですが、それに関係するパーツは規制がかなり遅れたり、そもそも規制されていなかったりします。
(例:マジック・テンペスターの禁止は2021/4/1)
それほどまでに除去や妨害を1ターン中に組み込めることが当たり前のゲームスピードやカードパワーになっている、ということです。
《輪廻独断》が禁止になるようなら今発売されていて使用されているカードのほとんどが禁止になっているはずだし、それに始めの方に書きかけてリンクロスとドラグーンでわざと否定した部分ですが、
今は本当に販売戦略的にすぐに禁止になるようなカードは出ないようになっているっぽいです。
(OCGを題材にしたアニメも終わっているからドラグーンみたいなことするわけにもいかない、などなどあるらしく…)
まぁ、《輪廻独断》のサジェストに禁止、とか無限ドロー、とかのワードが入っているのもアニメで使われたカードを用いたコンボだから実態以上のコンボに見えやすかった、とか、タッグフォースに収録されていたことがある、とかが原因なような気はしますが、
そもそもこのカードが使用されたアニメの回でこのコンボが披露されたわけではないことですし、本当にそのままのテキストではOCG化が不可能なレベルの黄泉天輪ほどのカードでもないわけです。
そんなわけで、《輪廻独断》は実装されたところで光の速さで禁止カードになるなんてことはなさそうです、というお話でした。
時々見かける《馬頭鬼》で墓地の種族をアンデット族にしてなんでも蘇生!みたいなコンボも、普通に《アンデットワールド》で事足りていたり…これ、さすがに面白いと思って言ってますよね?
…と色々言いましたが、じゃあこのカードは弱いのかと言われればそんなことはないです。
種族を重要視するデッキに対しての墓地メタとしてかなり良い性能のカードなので、2021年にこれだけシンプルなテキストで、しかもなんだかんだアニメよりも(若干ですが)強化されて実装されることについて、素直に喜んでよいと思います。
ちなみに遊戯王OCGの最速禁止カードは
《Emヒグルミ》
使用可能期間167日
となっております。
《リンクロス》も相当早かったから更新されたのかなと思ったら更新されていませんでした。
こちらは172日間です。誤差レベルと言える…?
《輪廻独断》を名前だけで禁止禁止と言っていたのなら、試しにヒグルミの効果を、《輪廻独断》の効果で《ドラグニティ-ブラックスピア》をループさせて《超再生能力》でターン終了時にドローしようとしている回数×167日間読んでみてはいかがでしょうか。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
よき遊戯王ライフをお送りください。